片麻痺で脚が突っ張ってしまうあなたへ。
ブルンストロームステージ下肢Ⅱレベルでも、自宅でできる方法を紹介します。
脳卒中理学療法士のゆうと申します。これまで訪問リハビリで、脳卒中専門のリハビリを2400件ほど行ってきました。回復期リハビリでも3年ほど勤めさせていただき、脳卒中リハビリのみに専念して携わっています。
脳卒中後、足の突っ張り(痙縮)やクローヌスが強いと、「頑張って動かそうとして余計に突っ張る」「歩こうとすると足が突っ張って危ない」「自分の努力不足なのではと不安になる」といった悩みを抱えている方は少なくありません。
最初に大切なことをお伝えします。
頑張り方を間違えると、逆に痙縮を強めてしまうことがあります。つまり必要なのは、無理に頑張ることではなく、神経を落ち着かせながら正しい方法で続けることが何より大事になります。
どういう事だブー?
これから説明していくよ!
自主トレの落とし穴
麻痺の回復に向けて「頑張ろう、頑張ろう」としすぎて、日々筋トレに励んでいる方もいらっしゃると思います。ですが、無理に頑張りすぎると、逆に筋緊張が高くなってしまったり、思い通りに手足が動かないということになったりすることがあります。
専門用語では、これを「共同運動の固定化」や「運動の異常パターンの固定化」と言ったりします。では、なぜ足が突っ張るのかというところに入っていきます。
脳卒中では、脳から筋肉への指令が乱れて、本来ブレーキ役だった神経の働きが弱くなります。これを麻痺と言います。その結果、以下のようなことが起こりやすくなります。
- 力みすぎたり、急いで動いてしまったりすること
- 非麻痺側ばかりを強く使ってしまうこと
- 息を止めてしまうこと
こうした動作によって、麻痺側の筋肉が過剰に興奮しやすくなります。特に避けたいことについて話していきたいと思います。
特に避けたいのは、以下のようなNG動作です。
- 非麻痺側(良い方の足)だけで強く踏ん張ってしまう
- 急に足を伸ばす、あるいは曲げる
- 反動をつける
- 息を止めて頑張る
- クローヌスが出ているのに続けてしまう
要するに頑張りすぎる、スピードをつけてしまうというところを避けていこうということです。自主トレの大原則は、合言葉は「ゆっくり、力まず、呼吸を止めず」です。では、自宅でできる安全なおすすめの自主トレーニングに移りたいと思います。論文ベースでエビデンスが取れているやり方になりますので、ぜひ参考にしてください。
自主トレ 1:ミラーセラピー
目的:脳に動いていると錯覚させて神経回路を刺激すること。
方法:
- 鏡を両足の真ん中に置いてください。
- 非麻痺側の足だけをゆっくり動かしていきます。
- 麻痺側は完全に脱力し、鏡を見て麻痺側が動いていると脳に認識させます。
頻度・時間:1日15分から30分、それを週に5日。
ポイントは、まず力まないこと、麻痺側を無理に動かそうとしないこと、そして震え(クローヌス)が出たら一旦中止し休憩することです。
鏡を両足を挟むように置けばいいんだ!
脚全体が見える立ち見ぐらいの大きさがいいね!
自主トレ 2:ふくらはぎストレッチ
方法:
- タオルを足裏にかける
- ゆっくり5秒から10秒かけて引く
- 軽い張り程度で止める
目的:足首をストレッチして、筋緊張(痙縮)を軽減させる。
方法:
- タオルを足裏にかける
- ゆっくり5秒から10秒かけて引く
- 軽い張り程度で止める
頻度・時間:30秒3セット、それを1日3回から4回。
引用:https://europepmc.org/article/med/11370763
ポイントは、痛みがある場合はやめる。早く引かない。強く引かない。ことです。
こう??
リハぶたくん!伸ばす脚間違えてるよ!
自主トレ3:座ってできる体幹トレーニング
目的は、体幹を安定させることで足の過剰な筋緊張や「共同運動」を減らしていくことです。ちなみに共同運動とは、ある一定の筋肉を動かしたいのに、他の筋肉まで一緒に動いてしまう現象のことを指します。このトレーニングを通じて、その共同運動を減らしていくことができます。
目的:体幹を安定させることで、足の過剰な筋緊張や共同運動を減らしていくため。
方法:
- 骨盤の前後の運動
- 左右の重心移動
- 体幹のひねり
- 前方リーチ
頻度・時間:
1回につき20分から30分、これを週5日。
麻痺になると体幹も弱くなる事が多いんだ
土台から整えるんだね!
自主トレーニング4: 呼吸トレーニング
目的:
- 筋緊張を低下させ、自律神経を安定させる
- 力みを防止する
- トレーニング前の準備として最適なメニューにする
方法:
鼻から4秒吸って、口から6秒吐く
頻度:
1回につき5分から10分、1日2-3回
イメージとしては、深呼吸すると落ち着くという感覚です。深呼吸によって自律神経をリラックス状態に導き、筋肉を落ち着かせます。
自律神経は筋肉の突っ張り感と密接に関わっています。例えば、強い緊張で勝手に力が入ってしまうこともあれば、ゆったりとリラックスした時間には体が休まって筋肉の緊張が緩むこともあります。今回はそこを狙っています。継続して行ってください。
これらのトレーニングをする際に大事な意識は、思ったように動けるイメージをすることです。
運動のイメージをする。
方法としては、目を閉じて、足首を上げる、立つ、歩くといった場面をリアルに想像します。自主トレ時においても目的の動作をしっかりとイメージすることです。
なぜこれに効果があるかというと、脳の運動野(うんどうや)を刺激するからなんですね。
運動をする前段階というのは、実はイメージが先行して起こります。その運動イメージに対して、どういう運動が適切なのかを脳が計画し、それで実際の運動が実行されるというメカニズムがあるのです。
その最初の「運動イメージ」の部分を(イメージトレーニングのように)しっかりと描くことで、運動機能を活性化させ、実行のための前段階を作っていきましょう、ということなんですね。
少しスピリチュアルな感じもするかもしれませんが、実際に脳の神経学的な裏付けがありますので、ぜひ実施してみてください。これができると、運動をするための準備が整い、回復に導きやすくなるかと思います。
次は自主トレではありませんが、寝ている時間もとても重要になります。
寝るときに大事なこと
寝ている時の姿勢で意識することは、以下の3点です。
- 足首が下に垂れないこと
- 底屈位の状態で放置しないこと
- 枕やタオルで中間位を保持すること
具体的にどういうことかというと、
足首を心臓より下に位置させないことです。これはむくみの直接的な原因につながってしまいます。むくみがあると、「動かしづらい」ということにつながるので注意が必要です。
そして底屈位(つま先や足首が下を向いている状態)で放置しない理由は、底屈したままだと、ふくらはぎの筋肉の緊張が高まってしまいやすいからなんです。
ですので、ベッド柵などにタオルを敷いてそこに足を置くなどして、中間位を保持させるようにしてください。ここが結構大事なポイントなので、意識してみてください。
トレーニングを中止するべきサイン
中止するべきサインは以下の通りです。
- 筋緊張が高まって震えが出現したり、症状が増悪したりすること
- 痛みが出てきてしまうこと
- めまい(息をこらえて、ふらふらっとしてしまうような感じ)が出現すること
- 翌日まで強い疲労が残ってしまうこと
- 痙縮の悪化(クローヌスにもつながりますが、筋緊張が非常に高くなってしまう場合)
これらがあれば、それは中止するべきサインです。おそらく負荷をかけすぎているのだと思われます。生活期でも麻痺の改善は可能です。「もう半年以上経ったから無理」というのは誤りです。現在のガイドラインでは、脳卒中後いつの時期でも、適切なリハビリを行えば効果は期待できるとされています。
目指すべきポイント
- 移乗しやすくなること
(ベッドから車椅子、車椅子から椅子などへの移動) - 立位時間の延長
- 合併症の予防
(拘縮予防、疼痛予防、転倒予防) - QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)の向上
(自分が人生にどれくらい満足しているかという質の改善)
結論として、最も重要なポイントは「努力量よりも運動の方向性」です。
効果的な自主トレのポイント:
- ゆっくりと力まずに行う
- 息を止めない
- 非麻痺側で頑張りすぎない
- 毎日少しずつ、とにかく継続して取り組む
ご家族へ伝えたいこと
「もっと頑張って」と励ますのではなく、「力まないようにゆっくりで大丈夫だよ」と声をかけてあげてください。これが正しいサポートであり、正しい声かけになります。
最後に、痙縮や筋緊張というのは、無理に戦う相手ではありません。神経を落ち着かせながら、うまく付き合っていくものです。正しい方向で3ヶ月積み重ねれば、体は少しずつ変化していきます。
焦らず、安全に継続すること。参考になれば嬉しいです。
これはCTAサンプルです。
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